想像してみてください。日常の風景が突然ぼんやりとし、まるで曇ったガラス越しに世界を見るようになる瞬間を。目の前の人の顔も、本の文字も、テレビの画面も、全てが霞んで見えなくなります。これが白内障の恐怖です。
世界保健機関(WHO)によると、世界中で約1,520万人の50歳以上の人々が白内障により失明しており、更に約7,880万人が中等度から重度の視力障害を抱えています。この研究は2020年に発表されたもので、過去20年間にわたり、白内障による失明のケースが29.7%増加したことが報告されています。
ミシガン大学の研究者が行った研究によると、中等度から重度の視力低下がある人は、正常な視力を持つ人に比べて認知症を発症するリスクが72%高いことがわかりました。この研究は、約3,000人の高齢者を対象に、視力と認知機能を評価しました。研究結果は、メガネやコンタクトレンズを使用しても視力に問題がある人は、認知症のリスクが高いことを示しています。
白内障が見つかる年代別割合は以下になります。
40代 約30%、
50代 約55%
60代 約70%
70代 約80%
50代になると2人に1人は白内障になり、加齢とともに発症リスクが高まるため、定期的な眼科検診が重要となります。
白内障が進行すると、視力はどんどん低下し、最終的には失明に至ることもあります。この視力低下は、単に不便というだけではありません。日常生活の質を劇的に下げ、独立した生活を送ることが困難になります。読書やテレビ鑑賞、車の運転など、日常の楽しみが奪われるだけでなく、階段や段差を見逃して転倒し、骨折するリスクも高まります。
また、視力が低下すると外出が億劫になり、社会的な孤立を招くこともあります。
さらに、白内障手術を受けるタイミングを逃すと、手術自体が難しくなり、リスクも増大します。進行した白内障は、水晶体が硬くなり手術の難易度が上がるため、合併症のリスクも高まります。
白内障の一般的な合併症は5つあります。
・網膜剥離
白内障手術の後に網膜が剥がれるリスクがあります。これは視力を大きく損なう可能性があり、手術が必要です。
・眼圧上昇
手術後、眼圧が上昇することがあり、緑内障を引き起こす可能性があります。
・出血
手術中または手術後に眼内出血が発生することがあります。これは視力に重大な影響を与える可能性があります。
・感染症 (眼内炎)
手術後に感染が発生することがあります。これを防ぐために、手術前後に抗生物質が使用されます。
・後発白内障
手術後数ヶ月から数年後に、水晶体嚢が曇ることがあります。これは「後発白内障」と呼ばれ、レーザー治療によって比較的簡単に治療可能です。
白内障の原因とは
白内障の主な原因は加齢で、50歳以上の人々に多く見られます。
他のリスク要因には、紫外線、喫煙、糖尿病、遺伝的要因、特定の薬物(特にステロイドの長期使用)などがあります。
世界保健機関(WHO)の報告によると、紫外線(UV)への過剰な露出が白内障の原因の約20%を占めているとされています。
紫外線は3種類あり、UVA(長波紫外線)、UVB(中波紫外線)、UVC(短波紫外線)があります。
UVBは角膜によってほぼ完全に吸収されますが、UVAはレンズを通過して目の内部に達します。これにより、長期的なUV露出は目の健康に重大な影響を及ぼし、白内障やその他の眼疾患を引き起こす可能性があります。
予防策としては、UVカットのサングラスなどが効果的です。
白内障の初期症状
白内障は失明リスクもあり、早期発見が非常に重要です。白内障は、目の中にある透明なレンズ(「水晶体」と呼ばれます)が曇ってしまう病気です。これが進行すると、次のような症状が現れます。
視界がぼやける:
- 白内障になると、物がはっきり見えなくなり、視界がぼやけます。まるで曇ったガラス越しに物を見るような感じです。
光がまぶしい:
- 太陽の光や車のヘッドライトがいつもよりもまぶしく感じることがあります。これにより、外出するのが嫌になったり、夜の運転が難しくなったりします。
色がくすむ:
- 白内障が進むと、色が鮮やかでなくなり、すべてが少し黄色っぽく見えることがあります。例えば、赤いリンゴがくすんだオレンジ色に見えるかもしれません。
視力が低下する:
- 文字が読みづらくなったり、顔がはっきり見えなくなったりします。特に暗い場所での視力が落ちることが多いです。
二重に見える:
- 一つの物が二つに見えることがあります。これを「複視」といいます。片目を閉じても治らない場合があります。
事例として曇りガラスなどによくたとえられます。 白内障はまるで曇ったガラスを通して物を見るような感じです。最初は少し曇っているだけかもしれませんが、だんだんと曇りがひどくなります。
白内障リスクを減らす食品とは
複数の研究やメタ分析から、特定の食品を食べることで白内障のリスクを大幅に減らすこと明らかになってきています。
白内障リスクを減らす栄養素
- ルテイン
- 効果: ルテインは目の健康を守るためにとても重要な栄養素です。メタ分析の結果、血中のルテイン濃度が高いと、白内障のリスクが27%も減少することがわかっています。
- 働き: ルテインは目のレンズ内の酸化ストレスを軽減し、白内障の形成を遅らせる可能性があります。
- 含まれる食品: ほうれん草、ケール、ブロッコリー、卵黄
- ゼアキサンチン
- 効果: ゼアキサンチンも同じく目の健康に役立つ栄養素で、血中のゼアキサンチン濃度が高いと、白内障のリスクが37%減少することが示されています。
- 働き: ゼアキサンチンもルテインと同様に、目のレンズ内の酸化ストレスを軽減し、白内障の形成を遅らせる役割を果たします 。
- 含まれる食品: ほうれん草、ケール、ブロッコリー、卵黄
- ビタミンC
- 効果: ビタミンCは強力な抗酸化物質で、目の健康を保つのに役立ちます。白内障の予防にも効果的です。
- 含まれる食品: オレンジ、グレープフルーツ、キウイ、イチゴ、ブロッコリー
- ビタミンE
- 効果: ビタミンEも抗酸化物質であり、目の細胞を酸化ストレスから保護します。これにより、白内障のリスクを減少させることができます。
- 含まれる食品: アーモンド、ヒマワリの種、ピーナッツ、ほうれん草
- カロテノイド
- 効果: カロテノイドは、目の健康を保つために重要な役割を果たします。特に、ベータカロテンが含まれる食品は白内障の予防に効果的です。
- 含まれる食品: ニンジン、カボチャ、サツマイモ
まとめ
これらの栄養素を多く含む食品を日常的に摂取することで、白内障のリスクを大幅に減らすことができます。特に、ほうれん草やケールなどの緑黄色野菜、ビタミンCを多く含む果物、ビタミンEが豊富なナッツ類を積極的に食べるようにしましょう。
白内障を予防するために、毎日の食事にこれらの食品を取り入れてみてください。目の健康を保つために大切な一歩です!
参考文献一覧
- Graefe’s Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology
- メタ分析によると、ルテインの高い血中濃度は白内障のリスクを27%減少させ、ゼアキサンチンの高い血中濃度はリスクを37%減少させることが示されています。
- Graefe’s Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology
- Nutrients Journal
- ルテインとゼアキサンチンが持つ抗酸化作用によって、眼のレンズ内の酸化ストレスを軽減し、白内障の形成を遅らせる可能性があることを示唆しています。
- Nutrients Journal
- Dietary Supplement Products
- ルテインとゼアキサンチンを多く含む食品についての説明。
- Dietary Supplement Products
- BackVita
- ルテインとゼアキサンチンのサプリメントが白内障のリスクを減少させる可能性についての説明。
- BackVita
- Preventive Health Advisor
- ルテインとゼアキサンチンの効果についての詳細な説明。
- Preventive Health Advisor
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