現代社会では、多くの人が長時間座りっぱなしの生活を送っています。デスクワークやテレビ視聴、スマートフォンの利用など、日常生活の多くの時間を座って過ごすことで、健康に深刻なリスクが及んでいるのです。
厚生労働省の調査によると、日本人の座位時間の平均は7.9時間とされています。ある研究によると、体を動かさずに長時間座っていることで、心臓病や脳卒中のリスクが147%も高まることが分かっています。
1日4,000歩しか歩かない人と比較して、8,000歩歩くことで全原因死亡リスクが51%減少し、12,000歩では65%も減少することがわかっています。
こちらのグラフは、1日の歩数と年間死亡率の関係を示すグラフです。米国国立衛生研究所の研究では、1日に歩く歩数が4,000歩に比べて8,000歩では死亡率が51%減少し、12,000歩では65%減少することが分かりわかっています。
アメリカ心臓協会が発表したメタアナリシスでは、1,000歩増えるごとに全原因による死亡リスクが15%減少することが示されています。特に、日々の歩数が3,967歩以下と比較して、5,537歩、7,370歩、11,529歩と増えるごとに全原因死亡リスクがそれぞれ48%、55%、67%減少することが分かりました。
京都府立医科大学が発表したコホート研究では、64,456人の日本人を対象に7.7年間追跡調査をした結果、座位時間が2時間増えるごとに死亡リスクが15%増加、生活習慣病を持つ人では、脂質異常症で18%、高血圧で20%、糖尿病で27%もリスクが増加することが確認されています。
72,174人のデータを基に行われた大規模な最新の研究結果では、スマートウォッチのデータを活用して、毎日の歩く歩数が座りがちな生活の悪い影響を打ち消せるかどうか調べています。これによると、1日9,000~10,000歩を歩くことが死亡率および心血管疾患のリスクを大幅に低減することが示されました。特に、4,000~4,500歩でもリスク低減効果が半分得られると報告されています。
病気や死亡率を激減させる効果的な運動方法とは?
健康リスクを減らすためには、どのような対策が有効なのでしょうか?ここでは、具体的な方法をいくつか紹介します。
毎日の歩数を増やす
目標として毎日8,000歩を設定し、徐々に歩数を増やしていくことが重要です。歩数を測定するために、スマートウォッチやフィットネストラッカーを活用しましょう。これにより、自分の進捗を確認し、モチベーションを維持することができます。
定期的な運動
短いウォーキングや軽い運動を日常生活に取り入れることが推奨されます。オフィスでの仕事中でも、定期的に立ち上がってストレッチを行うことで座りすぎの悪影響を軽減できます。たとえば、毎日30分の速歩を目標にし、週に少なくとも150分の中程度の有酸素運動を行うことが推奨されます。
歩くペースと最も効果的な時間帯
速歩(ブリスクウォーキング)
最も効果的とされるのが早歩きです。
早歩きは、心拍数を上げ、心血管系の健康を大幅に改善するために推奨されます。呼吸が少し激しくなるが会話はできる程度が理想的です。
速歩きをすることで、全体的な死亡リスクが低減することも研究で示されています。心拍数を上げ、心血管系の健康を大幅に改善するため、心臓病や高血圧のリスクが低減されます。速歩きは、心臓を強化し、血液の循環を良くすることで、動脈硬化の予防にもつながります。
糖尿病予防にも効果的で、血糖値をコントロールするのに役立ち、2型糖尿病のリスクを低減します。定期的な早歩きは、インスリンの感受性を改善し、血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。
最も効果的な時間帯は?
朝のウォーキングは、一日の始まりにエネルギーを与え、代謝を活性化させる効果があります。また、夕方のウォーキングは、日中のストレスを解消し、リラックス効果をもたらします。どの時間帯でも効果はありますが、自分の生活リズムに合わせて続けやすい時間帯を選ぶことが大切です。
毎日継続的に歩き続けることで、心血管系の健康を向上させ、寿命を延ばし、体重管理や筋肉強化、精神的な健康にも多大な効果をもたらします。適切な方法で速歩きを取り入れることで、健康を維持し、病気のリスクを減らすことができます。今日から少しずつでも速歩きを始め、健康的な生活を送りましょう。
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